千晶さんが取り組む、藍染めの染め直し活動。「いい服は長く切る」が、自然のサイクルにかなっている
千晶さんが取り組む、藍染めの染め直し活動。「いい服は長く切る」が、自然のサイクルにかなっている

 さらに、子どもの足で通える範囲内に小中学校があり、将来、ふうた君が東京の大学に進学したいと考えたとしても、ここならぎりぎり通学範囲。ふうた君の選択肢を狭めない場所、という視点からも、都市と田舎の中間にあるこの家は合格だった。

 内房エリアに移住して5年目。二人は、新たな挑戦を始めた。龍一さんは、青果の流通を行う会社に転職し、農場の立ち上げに関わる。

「もともとフルーツを扱っている会社で、今、千葉でブドウをつくろうと計画しています。農地買収から関わり、これから形になっていくので、楽しみです」

 千晶さんも、長年やりたかった藍染めの染め直し活動をスタートさせた。

「自分の大切な1着を、手をかけて長く着続けるのって、豊かですよね。シミができたり、色あせてしまった服も、染め直せば長く着られます。"捨てない"という生き方を考えるきっかけになればと思い、この活動を始めました。今、計画しているのは、我が家で染め直しをして、マクロビオティックのお弁当を食べて、ヨガをやる、という一日かけた"サスティナブルなワークショップ"。お弁当もヨガも、ママ友にプロがいるんです。だから、彼女たちと連携して、地域ともコラボして、やれたらいいなと思っています」

 それぞれの生きがいを持ち、ふうた君ものびのびと暮らす毎日。そんな生活が手に入ったのは、やはり都市に近く、里山もあり、住民もおおらかな内房エリアに移住したからこそ。肩ひじ張らず、自然に沿った生活に、満足そうな二人の笑顔が印象的だった。

(構成/生活・文化編集部 清永 愛)