森下監督は8月から御殿場西の新監督就任が内定しており、ノーシードだった常葉菊川が予選で敗れた時点で退任を発表するつもりだったようだが、予想以上の健闘で甲子園出場が決まり、進退に悩んだ末、出発直前の退任発表になったとみられる。

 その後、高野連も大会期間中に指導者がライバル校に異動するのは、選手たちへの影響や教育的見地から好ましくないとして、「特別な事情がない限り、交代は認められない」と学校側に通告。同校も強く慰留した結果、森下監督は退任を撤回し、甲子園大会終了までの続投が決まった。

 同日夕方、記者会見した森下監督は「大変な思いをした選手たちにお詫びしたい。選手たちに頭を下げて、一緒に頑張ろうと思います」と甲子園での決意を述べた。

 8月12日、初戦で秀岳館に1対6で敗れたあと、森下監督は「耐えに耐え、よく戦った。これをステップとし、今後の成長に向かってほしい」の言葉を贈り、同21日付で退任した。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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