■ポール・ポグバ(フランス代表)
2013年に20歳でデビューした“レ・ブルー”で90キャップ以上を数え、中心選手として長く活躍してきたポグバ。2021年のUEFAネーションズリーグ優勝、そして何よりも2018年ワールドカップで世界王者になった。決勝戦で見せた衝撃的なパスやゴールで、母国に20年ぶりのトロフィーをもたらした。
そんなポグバは、近年マンチェスター・ユナイテッドで度重なる負傷や去就問題に大きく揺れ、その巨大な才能のわずか一部しか発揮できていなかった。それでもフランス代表には継続して招集され、さらに今夏にはワールドカップを見据えてユヴェントスへの2度目のフリー移籍を決断するなど、連覇へ向けて着々と準備を整えているように思われた。
しかし、セリエA開幕前に再び負傷。右膝半月板を痛めてしまった。幸い手術は回避できたようで、現在は5週間の保存療法で復帰を目指している。とはいえ、復帰は最短でも9月半ば。同月23日、26日のワールドカップ前最後の試合には間に合わないことが予想される。さらに大国らしく、フランスではオーレリアン・チュアメニやマテオ・ゲンドゥージといった同ポジションの若手選手も台頭しており、競争は激しい。コンディションに不安が残る中でポグバの経験を買うか、フレッシュな若手選手を選ぶか、決断はディディエ・デシャン監督次第だろう。まずは候補者リストに復帰するためにも、できるだけ早くピッチへ戻ってこなければならない。
■フィルミーノ(ブラジル代表)
ユルゲン・クロップの下で最も才能を開花させた1人。サディオ・マネ、モハメド・サラーとの「フロントスリー」は世界中のクラブの脅威となり、2019年にはビッグイヤー、2020年にはプレミアリーグ優勝の主役に。新たなリヴァプール黄金期に欠かせない選手として、ファンからも愛されてきた。
しかし近年、“セレソン”では状況が異なる。2021年のコパ・アメリカでは先発わずか2試合に留まると、そこから1年以上招集されていない。その原因は、世界最高レベルのポジション争い。リシャルリソンやガブリエウ・ジェズスが3トップのセンターに、右サイドはハフィーニャが定着し、左サイドには絶対的エースのネイマールが君臨。さらにフィリペ・コウチーニョの復活、アントニーやガブリエウ・マルティネッリら若手の台頭と、現チームで居場所がないのが現状だ。
そしてリヴァプールでも、ディオゴ・ジョタやルイス・ディアスにポジションを奪われつつある。クロップやチームメイトの信頼は厚いものの、今夏にはダルウィン・ヌニェスといった強力なストライカーが加わったこともあり、スタメンで毎試合出番を得ることは難しくなっている。チームを活性化させるプレーや献身的な守備はどんな監督も欲しがるものだが、昨季リーグ戦5ゴールにとどまっていることもあり、わかりやすい結果を示してアピールすることも必要だろう。