郊外での野外音楽祭にて(廣津留さん提供)
郊外での野外音楽祭にて(廣津留さん提供)

「最近よく話題になっていますが、ニューヨークの物価は本当に高くなっています。私が暮らしていた2018年頃でも、マンハッタンで1人暮らし用のワンルームマンションを借りようとすると、2000ドルぐらいから。東京の家賃の2倍くらいの感覚です。ニューヨークは素晴らしい街ですが、家賃や物価の高さにはちょっと参ってしまいますね」

■ゲーム音楽の仕事や音楽教育プログラムの講師も務める

 音楽業界の人間が多く暮らしているという理由でニューヨークのジュリアード音楽院に進学した廣津留さん。仕事にもその人脈がいかされたという。

 「ニューヨークでは、クラシックの演奏活動のほか、ゲーム音楽の演奏・録音なども行っていました。

 演奏の録音や作曲の仕事では、ジュリアード時代に電子音楽の作曲の授業で知り合った作曲科の友だちやさまざまな楽器を演奏する器楽科の友だちにとても助けられました。

 例えば私が作曲したメロディーを、自宅にレコーディングブースがあるミュージシャンの友人に送って演奏してもらい、次に録音した音源を知り合いのサウンドエンジニアにデータで送信。ミックス(バイオリンやピアノなど、複数の音源を1つにして調整する作業)してもらって仕上げることで、コロナ禍でもスタジオに集まることなく、いつでもどこでもリモートで共同作業することができました。仕事でも頼れる友人やミュージシャンのネットワークは、ジュリアードで得た財産のひとつですね。

 ニューヨーク以外では、テキサス州サンアントニオにて、経済的に恵まれない子どもたちに対する音楽教育プログラムで講師を務めていました。子どもたちに楽器を貸与して、オーケストラを作るという取り組みですが、音楽を通して子どもたちの顔が輝いていく様子が見られるので、とてもやりがいがあります。ほかにも現地では年に4回ほど室内楽の演奏会が開催され、ベネズエラやメキシコなど各国から来たミュージシャンたちと一緒に室内楽公演を行っていました。コロナ禍以前は、毎年数回サンアントニオに通いつつ、6月はこの教育プログラムと室内楽の演奏会で、3週間ぐらい過ごすのが恒例になっていましたね」

暮らしとモノ班 for promotion
【フジロック独占中継も話題】Amazonプライム会員向け動画配信サービス「Prime Video」はどれくらい配信作品が充実している?最新ランキングでチェックしてみよう
次のページ
音楽家とビジネスの視点