七回裏仙台育英1死満塁で、岩崎が左越え満塁本塁打を放ち、試合を決定づけた
七回裏仙台育英1死満塁で、岩崎が左越え満塁本塁打を放ち、試合を決定づけた

 仙台育英・須江航監督の優勝インタビューも印象的だった。高校入学時から新型コロナウイルスの感染拡大という不測の事態に見舞われた3年生にかけたい言葉を聞かれて、こう答えた。

「入学どころか、多分おそらく中学校の卒業式もちゃんとできなくて。高校生活っていうのは何て言うか、あの…僕たち大人が過ごしてきた高校生活とは全く違うんですね。青春ってすごく密なので。でも、そういうことは全部駄目だ、駄目だと言われて、活動をしていてもどこかでストップがかかって…どこかでいつも止まってしまうような苦しいなかで、でも本当に諦めないでやってくれたこと。でも、それをさせてくれたのは僕たちだけじゃなくて、やっぱり全国の高校生のみんなが、本当によくやってくれて……」

 須江監督の目には涙があふれ、頬を伝っていた。

「例えば、今日の下関国際さんもそうですけど、大阪桐蔭さんとか、そういう目標になるチームがあったから、どんな時でも諦めないで、暗い中でも走っていけたので。本当に全ての高校生の努力のたまものが、ただただ最後、僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手してもらえたらなと思います」とスタンドの大観衆に呼びかけた。

 アマチュア野球担当の記者は、

「須江監督のインタビューに心が揺さぶられました。気配りの人で知られ、メンバー外の選手たちへの気配りも忘れず、人望が厚い。同じ東北勢の聖光学院を準決勝で破り、全国制覇への重圧も大きかったと思います。その中で頂点に立った戦いぶりは大きな価値があります」

 と健闘をたたえ、こう振り返った。

「忘れてはいけないのは大阪桐蔭の存在です。絶対的王者として個々の能力も高い。西谷浩一監督の教育も行き届いていて、部員たちは謙虚で相手を敬う気持ちを示している。そんな大阪桐蔭をお手本にしながらも勝ちたいと全国の高校生たちが闘志を燃やしました。仙台育英が全国制覇を飾り、新たな歴史を作ったことで、他の東北勢の高校は良い刺激になり、励みになったでしょう」

 甲子園の歴史に新たな1ページが刻まれた。

(梅宮昌宗)

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