観音菩薩の他、日本で馴染み深い菩薩は、地蔵菩薩であろう。地蔵菩薩は、釈迦が亡くなった後、その後を守護してくれる弥勒菩薩が出現するまでの間(56億7000年間)、人々を導いでくれる菩薩とされる。地蔵菩薩の特徴は、経典に声聞形で衆生を助けてくれると記される点だ。声聞形とは、僧侶の姿である。仏像の中でも珍しく僧侶の姿をしている仏像を見つければ、地蔵菩薩であることが分かる。また中国では、地蔵菩薩が地獄に堕ちた人々を救済するという考え方が生まれた。
弥勒菩薩は、釈迦の次に出現するとされる菩薩だ。厳密には、地上に出現する前は兜率天という天上界にいて、その時は菩薩の姿、地上に降りてくるときは如来の姿になる。日本では、飛鳥時代に半跏思惟の姿をした弥勒菩薩が制作された。これは朝鮮半島の弥勒菩薩を見ならったと思われる。頬に指をついた半跏思惟の菩薩に魅了される人も多いだろう。
※週刊朝日ムック『歴史道 Vol. 23 仏像と古寺を愉しむ』から