僕はこの手のものは見たことがありませんが、今から数年前だったと思いますが、昼間パジャマを着たままベッドいっぱいに画集など広げて、ぼんやりしていた時、そんな本の間から、飛び出してきた小さな生き物に気づきました。生き物といっても、ネズミや、ゴキブリではありません。

 パジャマ姿の僕のお腹にピョンと飛んで乗っかってきた生き物は、ひと目見て妖精だとわかりました。5センチ位の実に可愛いレオタードのような衣服を着た髪の長い少女で、背中には薄いトンボの羽のような透き通った羽をつけていました。全体が光ってはいないけれど、金色一色の実に美しくて可愛い姿をして、両手を顔の前で、まるでラグビーの五郎丸という選手がよく、忍者みたいに両手をモジャモジャと占(まじな)いみたいに動かす、あの仕草そっくりの格好をしました。その小さい金色の生き物が、僕にはすぐ妖精だとわかりました。もっとじっくり眺めていたかったのですが、ほんの4、5秒もしないうちにパッと消えたのか、飛び立ったのか、よくわかりませんが、いなくなりました。その時、僕の頭というか意識に「ティンカー・ベル」という言葉を残して消滅してしまいました。

 この小さい妖精がなぜ、ベッドの上で横たわっている僕のお腹に飛び乗ってきたのかはわかりません。その後は一度も姿は現しませんでしたが、不思議なできごとで、あの時の光景を思い出すと、なんとなく幸せな気分になります。「ティンカー・ベル」というのは「ピーターパン」にでてくる妖精ですが、「ピーターパン」の本は読了していないので、いつか読んでみたいと思っています。

 長女の友達で庭の草木の間に妖精を見る子がいると言っていましたので、まんざら妖精はフィクションの産物でもなさそうです。以前、札幌で個展をした時、学校の女の先生とその生徒が、校舎の床に小さい小人たちが住んでいる街があり2人でよく観察したという話をしてくれたことがあったので、小人にしても妖精にしても、一般的には見えないけれど、見える人がいたり、僕のようにある瞬間だけに見ることができる者がいることはどうやら、あり得る話のように思っています。

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