会見に臨む五ノ井さん(撮影/岩下明日香)
会見に臨む五ノ井さん(撮影/岩下明日香)

 今後の対応について、防衛省の町田一仁人事教育局長と陸上幕僚監部の藤岡史生人事教育部長は「関係者の行った対応や職責を勘案して、懲戒処分の手続きを進める」と話した。さらに、有識者会議を設けて抜本的な見直しをする方針も示した。

 防衛省から正式に謝罪を受けた五ノ井さんは、言葉を詰まらせ、涙をこらえながら、こう胸中を述べた。

「今になって認められたことは……遅いと思っています。防衛省の方々からの謝罪はもちろんですが、私に直接セクハラをしてきた人たちが、面と向かって謝罪に来てほしいと思っています。今後、このようなことが二度とないように根本的な改善をしてほしいです。まだ、すべてが解決したわけではありません。加害者から直接謝罪を受けるまで、前を向いて取り組んでいきたいです」

 五ノ井さんは、三曹の男性隊員3人から受けた性被害を「強制わいせつ罪」として警務隊に被害届を提出していたが、今年の5月月31日付で男性隊員らは不起訴処分になった。これに対して五ノ井さんが検察審査会に不服申し立てをした結果、9月7日付で「不起訴不当」と判断され、検察による再捜査が行われることになっている。防衛省が正式に性加害を認めた今、検察による再捜査のゆくえにも注目が集まる。

 性被害を受けて以降、五ノ井さんは一貫して当該の男性隊員からの誠意ある「謝罪」を求めてきた。会見後、記者団の取材に対して「(加害者の)男性隊員から謝罪したいという意思があることは、(自衛隊側から)伝えられています」と打ち明けた。五ノ井さんとしては、謝罪を受けたうえで、話し合いをしたいという。

 きょう、9月29日は五ノ井さんの23歳の誕生日だった。被害から約1年、求め続けていた「謝罪」のひとつをやっと受けることができた。(AERA dot.編集部 岩下明日香)

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