アンケートで「収入額を知らない理由、もしくは知りたいと思わない理由」を聞いたところ、岡野さんの指摘する家計像が見えてくる。

「お互いの収入額を知っていますか?」で「わからない、全く知らない」を選択した人たちに「収入額を知らない理由、もしくは知りたいと思わない理由」を聞くと、「家計管理ができているので知らなくてもいい」が最も多く15%(男性9%、女性6%)だった。続いて、「あらかじめ別管理と決めていたため」が8%(男性5%、女性3%)で、「わからない、全く知らない」とはいうものの、家計管理ができていたり、そもそも別で管理を話し合っていたりする様子がうかがえた。その他、アンケートの自由記入にはこんなコメントがあった。

「決められた支出以外はお互いに自由だからです」(40代男性/新潟県)

「自分が家計管理をしていて、相手はさほど金銭にとやかく言わないし、任せられているから」(40代女性/新潟県)

「私は専業主婦なので支払いのすべては主人がしているので、それに義両親の生活の負担も主人の収入から出ているので一切私はわからないです」(60代以上女性/埼玉県)

 また少数ながら、「聞いても教えてくれない」が6%(男性3%、女性3%)、「自分の収入額と差があるといやなので知りたくない」が3%(男性2%、女性1%)という回答もあった。

 そこにも「このご時世ならではの理由がある」と岡野さんは指摘する。

「いまの賃金形態は、月によって収入が増えたり減ったり変動するケースもある。昔は勝手に給料が毎年増えていったけど、いまは逆に大幅に減ることも多い。増えたときは“こんなに稼いだ”と配偶者やパートナーに伝えるかもしれないけれど、その逆をあえて知らせようとも、聞き出そうともしないのでは? また、非正規雇用だったり、自慢できるほどの収入じゃなかったりする場合もある」

 アンケートの自由記入の回答には、「パートナーに聞いたことがあるが、明確な返事がなかったから」(20代女性/大阪府)、「知っても良いことはないから」(40代男性/長崎県)、「聞きづらいのもあるし、あえてお互いに聞かない」(50代男性/広島県)など、夫婦やパートナーといえども、踏み込めないラインが見えてくるようなコメントが少なくない。

 では、相手の収入額を知っている・知らないは問わず、家計管理はどのようにしているのだろうか?

「世帯の家計管理で当てはまるものを選んでください」の設問には、「世帯の家計は自分で管理している」が一番多く35%(男性16%、女性19%)で、続いて「世帯の家計は自分以外が管理している」が27%(男性21%、女性6%)と、夫婦やパートナーのどちらかが管理をしている様子がうかがえる。

「世帯の家計は『共同財布』に出し合い管理している」が16%(男性10%、女性6%)、「世帯の家計は費目ごと(食費、住居費、光熱費等)でそれぞれ分担して管理している」が11%(男性6%、女性5%)となった。「世帯の家計管理はそれぞれが別々に管理している」も全体の1割近くの9%(男性5%、女性4%)だった。

 家計管理を別々にしていようが、どちらかがしていようが、岡野さんは夫婦円満のために提案したいことがあると言う。それは「『株式会社家庭』を経営していると思ってみる」だ。

「私の近著『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』の1項目にも挙げたんですが、どちらが社長でも社員でもいいのですが、大切なのは『株式会社家庭』という会社を成長させていく同じ目標を持つこと。目的達成のためには、それぞれの得意なことを生かして、フォローしていく。営業(収入を得る)だけでなく、会社にはその他の仕事(家計管理)もあるので、しっかりタッグを組むことです」

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