慢性上咽頭炎が関係していると考えられる症状には、(1)上咽頭のうっ血による直接的な症状(喉の違和感、頭痛、耳鳴り、こりなど)、(2)自律神経の乱れに関する症状(全身倦怠感、慢性疲労症候群、めまい、睡眠障害、記憶力・集中力の低下、過敏性腸症候群、機能性ディスペプシアなど)、(3)免疫が関連した症状(IgA腎症、ネフローゼ症候群、関節炎、慢性湿疹の悪化など)がある。(※『道なき道の先を診る』堀田 修 2015年から)

■診断と治療はEAT(上咽頭擦過療法:Epipharyngeal Abrasive Therapy)

 慢性上咽頭炎の診断と治療は、EAT(イート、上咽頭擦過療法)という方法で行う。これは0.5%~1%の塩化亜鉛溶液を染み込ませた綿棒を鼻や喉から挿入し、上咽頭を擦る方法だ。

※日本病巣疾患研究会ホームページから
※日本病巣疾患研究会ホームページから
※日本病巣疾患研究会ホームページから
※日本病巣疾患研究会ホームページから

 上咽頭に炎症があると痛みを感じ、うっ血がひどい場合には出血して綿棒に血液がつく。痛みを感じたり出血したりすることで慢性上咽頭炎であるという診断がつき、同時に消炎作用のある塩化亜鉛溶液を塗る治療にもなる。

「炎症の重症度にもよりますが、痛みや出血がなくなり、さまざまな症状が完全に消えるまで週に1~2回程度のEATを継続するのが良いでしょう。炎症がひどい場合、初めはかなり痛みが強く出血も多いのですが、継続するうちに少なくなり、症状も改善していきます」(堀田医師)

 EATは保険診療が可能で主に耳鼻科で行われるが、取り入れている医療機関はまだあまり多くない。また、正しく処置を行わないと効果が出ないことがあるので、医療機関を選ぶ際には注意が必要だ。

 EATが受けられる全国の医療機関は、日本病巣疾患研究会のホームページ(https://jfir.jp/chronic-epipharyngitis/)からも探すことができる。

 またEATは現在、関連の学会でガイドライン(治療指針)の作成作業が行われている。

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慢性上咽頭炎は万病の元