■他の病気を除外することが重要
慢性上咽頭炎が原因で起きる症状には比較的ありふれたものが多く、また種類も多岐にわたる。他の病気を見逃さず正しい診断を受けるためには、例えば鼻や喉の症状なら内科や耳鼻科、頭痛やめまいなどであれば内科や脳神経内科、脳神経外科といった、自分の症状に合った診療科をまず受診することが大切だ。必要であれば検査も受け、がんなど大きな病気の可能性を排除した上で、EATが受けられる医療機関を受診することが望ましい。
「慢性上咽頭炎は万病の元ではありますが、万病の原因がすべて慢性上咽頭炎ではありません。各診療科でいろいろ調べても異常がないのに症状が長期間続く場合に、慢性上咽頭炎を疑ってみると良いと思います」(堀田医師)
堀田医師のクリニックには、さまざまな診療科で異常がないと言われ続け、精神科の受診まで勧められて困り果てた患者が多く来院する。その中には、さまざまな情報を集めるうちに慢性上咽頭炎という病気を知り、自ら「私は慢性上咽頭炎だと思います」と言って受診する患者もいて、そういった患者にはほぼ間違いなく、本人が言うとおり慢性上咽頭炎があるそうだ。
慢性上咽頭炎という病気も上咽頭という概念そのものも、まだあまり知られていない。EATとともに広く知られ、困っている多くの患者がきちんと診断・治療を受けられるようになることを願う。
(文・梶 葉子)