コロナ禍といわれるようになって久しく、withコロナの生活に慣れてきた人も多いでしょう。一方で、新型コロナウイルス感染症にかかった後にその後遺症に苦しむ人は多く、今年の夏に過去最高の感染者数を出した第7波を受け、いまも多くの人が後遺症に悩んでいます。漢方医として多くの患者の診療をおこなっている新見正則医院院長で、『フローチャート コロナ後遺症 漢方薬』の著者の一人である新見正則医師に、コロナ後遺症診療の実情と、コロナ後遺症に対する漢方治療のメリットを取材しました。
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東京都千代田区の新見正則医院は、腫瘍内科・漢方内科を標榜し、がん患者や難病の患者を対象に完全予約制で自費診療をおこなっています。院長の新見医師は、対面での診療時間外に患者からの電話やメールでの相談も受けており、他院では治療困難なコロナ後遺症に悩む患者からの相談も、週に3~4件ほどあるといいます。
「コロナ後遺症に悩んでいる人は非常に多いです。コロナの急性期医療に携わる先生方に聞いたところ、4人に1人ぐらいは後遺症があるのではという声も聞かれました。とくにオミクロン株では、感染症そのものは軽症になっていますが後遺症は増えていると思います」(新見医師)
相談してくる人の年齢は、10代から80代まで幅広く、男女の別や基礎疾患の有無などには関わりがないといいます。
「むしろ、持病などがなく、『これまでずっと元気だったのに体調が悪くて動けない』という人のほうが多い印象があります」(同)
新型コロナウイルスのワクチンや治療薬は開発されてきたものの、後遺症に関してはいまだ解明されていないことが多いのが現状です。血液検査や画像検査などによる、明確な診断基準もありません。そのため、コロナにかかった後に何らかの不調があり、ほかの病気の可能性がないものはすべて、コロナ後遺症の可能性を否定できないことになります。
症状はさまざまですが、一般的には、倦怠感(けんたいかん)や微熱、食欲不振、味覚・嗅覚(きゅうかく)障害、せき、頭痛、息苦しさ、気分の落ち込みなどが挙げられます。なかでも「最も多いのは倦怠感」と新見医師は話します。