■日光を取り入れて 体内時計を整えよう

 秋冬のメンタル不調を防ぐために有効なのが、日光を生活に取り入れることです。 朝起きたらカーテンを開けるようにしましょう。これによりセロトニンが活性化され、体内時計がリセットされます。難しい場合は部屋の照明をつけるだけでも一定の効果があります。自宅の照明が暗い人は、明るいものに変えるのも一案です。

 日当たりの悪い場所で長時間過ごす人は、特に意識して日光を浴びることが必要です。短時間でも積極的に外出しましょう。

 また、毎日できるだけ同じ時間に起き、規則正しい生活を送ることも大切です。日中の活動量を上げ、夕方以降は激しい運動や強い光を浴びることは避けてゆったりと過ごし、メリハリのある生活を心がけましょう。

 適度な運動も有効です。ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリング、階段の昇り下りなどの有酸素運動の他、ゆったりした呼吸で一定のリズムを刻みながら行うヨガやストレッチなどもおすすめです。ただし、これにこだわらず、自分が心地よく感じられる運動から始めて習慣化しましょう。 

■食生活に気をつけてセロトニンを増やそう

 秋冬に炭水化物、特に甘い物を食べたくなるのは、体温を維持するためという面もありますが、過度な摂取はNGです。

 セロトニンは必須アミノ酸の一種であるトリプトファンを原料としてつくられるため、食事でトリプトファンを摂ってセロトニン不足を改善しましょう。トリプトファンは、肉類、卵、大豆製品、乳製品、ナッツ類、バナナなどに多く含まれています。

 また、トリプトファンの吸収を助ける炭水化物、トリプトファンの吸収に欠かせないビタミンB6も併せて、幅広い食品からバランスよく摂るようにしましょう。

■まずストレスを自覚し考え方の癖を見直そう

 ストレスというと悪いことが原因と思われがちですが、結婚、昇進、進学といった喜ばしいこと、季節の移り変わりも含めていろいろなかたちの「変化」がストレスになり得ます。まずは自分が受けているストレスを自覚し、それにどう向き合うか、どのように距離をとるかを考えることが大事です。

 ストレスをためやすい人は、思考パターンを変えてみるのも一つの方法です。特に「~しなければいけない」と自分を追い込む癖のある人や、他人と自分を比較する癖のある人は要注意。イライラや怒り、未来への不安や焦りなどのネガティブ感情にとらわれず、「今、ここ」を大切にしましょう。

 また、うつの人の中には心の不調に対して自覚がなく、体調不良だけを訴えるケースもよくあります。疲労感、不眠、胃腸障害、頭痛、めまい、肩こりなどが長引いている人は、心も見つめ直してみましょう。 

■セルフケアのヒント

<ヒント1>体を温めよう
 秋は日中と朝晩の気温差が大きく、体を冷やしてしまうと自律神経に影響して気持ちも落ち込みがちになります。食べ物、入浴、服装などで体を温めましょう。

<ヒント2>オフタイムをつくろう
 忙しい中でも心を解き放ち、リラックスできる時間を意識的につくりましょう。趣味、運動、おしゃべり、何もしないなど。イベントも詰め込み過ぎはNGです。

<ヒント3>メディカルハーブを活用しよう
 メンタルケアはハーブの得意分野。心身の両面に穏やかに働きかけて疲れた心を癒やし、バランスを整えてくれます。ハーブティー、アロマセラピーなどいろいろなかたちで日常生活に取り入れましょう。日中に疲れを感じた時にはリフレッシュ系のハーブ(ペパーミントやレモングラスなど)を、夜のくつろぎタイムにはリラックス系のハーブ(リンデン、ジャーマンカモミールなど)を、と使い分けるのも一つの方法です。

監修/入谷栄一先生
監修/入谷栄一先生

監修/入谷栄一(いりたに・えいいち)先生
いりたに内科クリニック院長。総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医。日本メディカルハーブ協会顧問。東京女子医科大学呼吸器内科非常勤講師。在宅診療や地域医療に力を入れる他、補完代替医療やハーブ、アロマに造詣が深く、全国各地で積極的に講演活動も行う。著書に『病気が消える習慣』、『キレイをつくるハーブ習慣』(経済界)など。

日本メディカルハーブ協会HP

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