その後、あかにぃの飼い主さんが見つかったのですが、「もうあの子はいらない。新しく子猫を飼うから返さないでいい」と言ったとシェルターの方から聞きました。憤りと悲しさを感じながら正式にうちの子にしたのですが、じっくり向き合い教えるうちに、かみ癖も粗相も治りました。でもあかにぃの心の安定は、何よりもカムイの存在によるところが大きいと思っています。
うちには猫が増えていきましたが、あかにぃは番長、カムイは優しい裏番として、みんなをうまくまとめています(笑)。病気になった子の側にいったり、雪だるまのように猫に乗っかられたりしても、「いいよ」というように受け入れる。私も猫も、カムイ頼み、という感じの“頼もしさ”でした。
しかしカムイは、今までにいくつか体調で不安なことがありました。
2歳の時、突然けいれんを起こし、意識が混濁し、救急病院に連れていくと、腎臓結石が原因だといわれて処置をしてもらいました。その後3回くらい結石ができて手術も勧められ、迷いましたが、数年前に出会った先生から「手術の必要はなく、腎臓ケアの食事をあげてコントロールできる」と言われ、療法食で落ち着いています。
そんなカムイに今年、危機が訪れました。がんが見つかったのです。
しかもそれは、獣医さんが「よく見つかった」と驚くくらい“小さな状態”でした。
見つけたのは、カムイ自身です。
■自分の病気を察知した?
6月末、私が座っていたらカムイがそばにきてゴロンと横たわりました。いつもと違って胸のあたりを見せつけるようにさしだすのです。すると白い毛の間にちらっと赤いのが見えたので、気になって病院に行きました。先生ははじめ「カムイちゃん舐めたのかな」と軽い感じで話を聞いていましたが、胸を見た瞬間に表情が変わりました。
「乳がんの疑いがある」というのです。
猫は乳腺の周りのしこりは8割が乳がんといわれ、オスの罹患(りかん)率はわずか1%だそう。そして、乳がんという前提で1センチメートルのしこりの細胞診をして切除をしたのですが、病理検査に出したら皮脂腺がんでした。これは猫にはまれで、ある程度大きくならないとわからないといい、大きくなった時は転移していることが多く、手遅れになることも多いそう。