カムイは息子とすぐに心を交わしました。朝起きると部屋まで迎えに行き、息子が泣けば涙をペロペロなめる。体の小さかった息子は、子どもの頃に気分がふさぐと段ボールによく入り込んだのですが、カムイも一緒に入っていました。

 他の家族が病気になったり落ち込んだりしていても、カムイは胸にかぶさるようにして顔をなめてくれるんです。親が子猫を呼ぶ時にする「うおーん」という独特な鳴き方(うちでは“呼び鳴き”という)をしながら、おもちゃをくわえてきて、ひざにポンと置くことも。私がコロナワクチンの後遺症がつらくて寝ている時には、おもちゃのお土産をもってきてくれたので、とても癒やされました。

 白色系の猫はよく「気が強い」といわれますが、カムイは穏やかで、かつ、“敏感に相手の心を察知する能力”にたけているようでした。

うれしそうにカムイ(左)と同居の猫たちを抱く長男
うれしそうにカムイ(左)と同居の猫たちを抱く長男

■同居の猫にも優しく

 猫にハンデがあると仲間にいじめられそうなイメージがありますが、カムイは逆に他の猫を守るようなところがありました。

 カムイは、後から来た、茶白猫のあかにぃと親友になったのですが、あかにぃは心に大きな傷を負っていました。2011年の震災時、飼い主とはぐれて半年以上さまよった後に原発近くの保護シエルターに収容され、人に対する不信感と強いかみ癖がありました。

 その年のクリスマスに、(飼い主が見つまるまで預かるつもりで)うちに迎えましたが、鳴きわめいて粗相し、家族をかみました。かんだ後にすぐ「こわい」というように両耳を下に下げるので、「もしかしたら以前よくたたかれていたのかな」と思ったものです。両前脚を人に無理に引っ張られたことがあるのか、その後脱臼の痕も発覚しました。かわいそうに、どんなに痛い思いをしたことでしょう……。

 さまざまな背景から、落ち着かず攻撃的なあかにぃに対し、カムイは頭をこっつんとぶつける友好的なあいさつをしました。そして、(息子にするのと同じように)気づくとぴたっと寄り添っていました。

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私も猫も、カムイ頼み、という“頼もしさ”