とにかく超早期発見で、転移もなく取ることができて安心しました。もしかしたら、“何事にも敏感なカムイ”が、自身の異変にもいち早く気づいて命を守ったのかもしれません。

 入院は1日だけでしたが、先生によればカムイは不安からか一切飲まず食わずで、睡眠もとれなかったそう。でも迎えにいった息子の顔を見たとたん、目をきらっきらと輝かせたので、息子との結びつきの強さを実感したものです。

 そういえば、がんの転移を調べるレントゲンの時に、あらためて先生がカムイの前の左脚と背骨も確認してくれましたが、「こうした骨の形成不全でこの年まで元気にしている子を他に知らない。これはやはりすごいことだ」とおっしゃっていました。

気持ちよさそうなお昼寝
気持ちよさそうなお昼寝

■不自由だけど不幸ではない

 この14年、カムイからは多くのことを教わりました。優しさや強さ、どんなことがあっても自分らしく生きるということも。

 カムイを見た人は、みんな一様に息をのんだようになり、こう口にするのです。

「どうしたのこのの手、ケガでもしてるの?」「なんだか、かわいそう……」

 カムイはこの体しか知らずに生きてきて、自分で工夫して歩いたり、上のほうに乗ったりする。いざという時はダッシュもできる。なので、誰かに何か言われると私は、

「これがカムイのふつう。ケガではなくて生まれもった個性で、これが“まるごと”カムイなんだよ。かわいそうではないよ」

 と言うようになりました。

左脚が短いけどこれがカムイのふつう
左脚が短いけどこれがカムイのふつう

 いつも穏やかで楽しそう。“不自由さは少しあるかもしれないけど不幸ではない”ということを、カムイが伝えてくれた気がするのです。

 でも、世の中には、障害や重たい病気があることがわかって、捨ててしまう人もいるかもしれません。もちろんこうした障害のある動物を迎える場合、状態によってある程度は手間もかかるし、覚悟は必要です。たとえばカムイの場合は、前脚の親指の欠損のせいか、カーテンにひっかかった時に自分ではずにしくいので手伝いが必要です。

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カムイのセラピー効果?