例えば、2011年に東京地裁で判決が出た裁判。ある外資系企業に中国法人の社長としてヘッドハンティングされた人物が、中国からの事業撤退を理由にリストラされ、解雇無効を求めた。裁判所は4要素の一部について会社側の落ち度を認めたものの、
「職種(中国法人の社長)を特定した上で高額の報酬が支払われている以上、その職種が消滅した場合は解雇もやむを得ない」
などとして解雇を認めた。
仕事の立場や報酬、退職金が上乗せされたかなどの状況によって、判決が分かれているという。
齋藤弁護士はツイッター日本法人の従業員の解雇について、「詳細は明らかではありませんが」と前置きしつつ、裁判になった場合、4要素を考慮して解雇無効となる可能性はあると指摘する。
「仮に赤字改善のため整理解雇の必要性があったとしても、まずは希望退職者を募集して人員削減を図るなど手段は他にもあります。しかし、そうした措置を取った形跡はありません。この点から『整理解雇を回避する努力をした』と認められるかどうか。また、マスク氏はCEOに就任してからまだ日が浅い。メールでの解雇通知が事実なら、『解雇する対象者選定の合理性』『対象者に説明を尽くしたか』という点でも、疑問を感じざるを得ません。しっかりと解雇の基準を検討し、説明する時間はなかったはずです」
ただ、外資系企業を含め解雇無効の訴訟に数多くかかわってきた齋藤弁護士は、たとえ解雇無効になったとしても、実際に職場復帰するには高いハードルがあると話す。
「いわゆる“針のむしろ”を恐れて、職場に戻らない人が多くいるのが現実です。一人で戦うのではなく解雇された同僚たちと手を組んで外部の労組に入るなど、元従業員たちが束になって動く必要があると思います」
外資系企業のドライな姿勢が浮き彫りとなった、今回のリストラ劇。今後、日本法人の元従業員が司法判断を求める事態になるのだろうか。(AERA dot.編集部・國府田英之)
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