米ツイッターの本社ロビー(=サンフランシスコ)
米ツイッターの本社ロビー(=サンフランシスコ)
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 テスラの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏が買収したツイッター社をめぐる大規模なリストラの余波は、日本法人の従業員にも及んだようだ。米ツイッター社は大量の従業員に「メールで解雇を通知した」と報じられているが、日本法人の従業員がこのような形で解雇されることに法的問題はないのか。労働問題に詳しい専門家は「日本で裁判になれば解雇無効となる可能性はある」と指摘する。

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 10月末にツイッター社の買収を完了させ、同社のCEOに就いたマスク氏。米メディアによると、全世界の従業員の半数に当たる約3700人が4日までに解雇されたという。異例の大量リストラは、日本法人の従業員にも及んだようだ。

 同社は、2年連続で純損益が赤字になるなど業績不振が続く。マスク氏は「(ツイッター社が)1日に400万ドル以上の損失を出している」とツイートしており、人件費などのコスト削減により経営再建を図る考えを示している。

 こうした経営不振や不況などの理由で従業員を解雇することを「整理解雇」というが、「メールで通告された」ともされている日本法人の従業員の解雇に法的問題はないのか。

 労働問題に詳しい齋藤裕弁護士(さいとうゆたか法律事務所)によると、日本で会社が従業員を整理解雇するには、

▽人員削減の必要性があるか
▽人員削減のために解雇をする必要性があるか(解雇を回避する努力義務を履行したか等)
▽解雇の対象者の選び方が合理的か
▽解雇の手続きの妥当性や対象者に説明を尽くしたか

 という4つの要素を考慮する必要があるという。外資系の日本法人にも、同じ要件が求められる。

 だが、外資系企業の整理解雇に対し、解雇無効を求めた過去の裁判を見ると、

「この基準を厳格に適用し解雇を認めなかった判例もありますが、要件を緩やかに解釈し解雇を認めたケースもあります」(齋藤弁護士)

 と判断が難しいところもあるようだ。

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もし解雇無効になっても職場復帰は難しい?