移籍市場では苦戦することも予想されるが、FAの選手を獲ることができなければ、必然的に若手の出場機会が増える。そして、巨人にはそのチャンスを生かすことができそうな選手は多い。特に投手は堀田賢慎、山崎伊織、赤星優志、井上温大ら若手8選手が揃って今季プロ初勝利をマーク。同一シーズンに8人の投手がプロ勝利を挙げるのはNPB史上初の快挙だ。

 また、野手も坂本勇人の後継者とも目される中山礼都、増田陸ら今季一軍での出場を増やした選手に加え、秋広優人、菊田拡和など将来的にチームの主軸を担える可能性のある人材は少なくない。

「目先の結果だけにこだわる必要もない。しっかりしたビジョンを持った選手起用を継続すれば、(勝てない時期があっても)周囲は納得する。一過性のライトなファンが離れたとしても、本気で巨人軍を愛してくれる人は見守ってくれる。原監督自身が腹を括る必要があるのではないか」(巨人OB)

「巨人は三軍にも力を入れ始め、ファーム施設にも投資している。下部組織は充実し始めているからこそ、一軍の戦い方が重要になる。従来通り他球団の主力を乱獲して目先の勝利にこだわるだけでは何も変わらない。下で育てた選手を一軍でも我慢して起用することで、経験値が高まり選手は伸びる」(在京球団編成担当者)

 主にファームが使用するジャイアンツ球場も大規模な改修が行われ素晴らしい施設に生まれ変わった。コロナ禍の影響で開業は遅れているが、今のファーム施設に隣接する新球場建設も決まっている。だが、施設面で若手が育つ環境が仮に整っても、育った選手を起用する機会がなくなれば宝の持ち腐れとなってしまう。

「ジャイアンツ球場の二軍戦は常に賑わっている。熱心な巨人ファンが求めているのは、自前の選手の成長と活躍なのだろう。勝利はもちろん大事だが、他球団の主力を獲得して勝っても喜びが半減してしまうのは理解できる。ニーズに沿った戦い方を選べばファンから見放されることもないはず」(巨人担当記者)

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「今こそ原点に戻るべき」