
そのときにも会場に来ているお客さんには映像として見せたんだけど、今は頭蓋骨にボルトを入れて外側から首の神経を支えるハローベストというものを装着して生活をしている。「そんな姿まで見せて……」と思う人もいるかもしれないけど、俺にとっては楽ちゃん(三遊亭円楽)が往って、アントニオ猪木さんが旅立たれたときだったから、残されたものは「生きているんだ」ってことを伝える役目があると思ったんだよね。
それと同時に、俺のこんな姿をさらけ出すことで「生き抜いていかなきゃいけない」と、自分自身を鼓舞することにもなったと思うんだよ。
あとは、俺はプロレスを続けてきて、この年になってこんなことになったけど、今リングに上がっている選手たちも「こんなに大きなリスクを背負っているんだよ」ってことを理解してほしかった。きらびやかな世界だけど、いつも死やケガと隣り合わせだし、選手たちはそんなことはつゆほども考えちゃいないと思うけど……でも、確かにあるリスクなんだよ。
今俺は、上下左右全く首は動かせないし、頭蓋骨に直接ボルトを入れて支えているから外したくても外すこともできない。肉体も精神もダメージが大きいなと感じる日々だよ。それでも、新聞を読んだり、まき代や、俺の新刊を読んだり、競馬をしたり、相撲を見たりして何とか自分を奮い立たせているというのが正直なところだよね。
「もう何もかもどうにでもなれ!」って投げ出したくなるけど、娘の紋奈が一人奮闘している姿や、「こんなとき、まき代だったらどうするかな」と思ったり、甲斐甲斐しく世話をしてくれる看護師や医師の皆さん、そして選手やスタッフ、ファンのことを思うとここで、俺がくじけるわけにはいかないなと踏みとどまっているって感じだね。
それと、このAERA.dotもそうだけど、連載の取材はしゃべることで成り立つから、仕事としてこなせるし、今の閉鎖的な生活に刺激を与えてくれるからとってもありがたいよね。「最近のプロレス界はどうよ?」とか、昔話をしながら楽しんでいる。ただ、病院にいるとすっかり口数も減っちゃうから、最近もっと活舌が悪くなった気がするよ。こりゃまた仕事が増えるな!?(笑)