JSAの設立は2019年4月。川田さんと岡本さんの2人が共同代表となり、ほかにはADK、EY Japan、ヤマハなどが発起人となった。その後、さまざまな業種の企業のサウナ部が加盟。加盟企業も150社を超えた(2022年10月末現在)。
JSAのコンセプトは「つながる、まざる、ととのえる。」。定期的にサウナ施設の一部を貸し切って加盟企業メンバー間でのサウナミーティングをおこなう。名刺交換を行っている人は誰もいない。
「ビジネスパーソンの本質がそこにある気がします。肩書のない状態で会って、交流して、親交を深める。人と人の関係値が先にきて、そのあとビジネスにつながっていく。サウナはそんな新しいビジネススタイルの可能性をもっているのです」
とはいえ、サウナのコミュニティーはまだまだ男性中心。コクヨのサウナ部でも男女比は6:4という。女性の場合では、サウナ施設の館内着で交流すること自体、男性ほどスムーズではないという声もある。
「女性はサウナで一度メイクを落とすなど準備も大変だったりと、交流するにも心理的ハードルが高まるようです。女性のそうしたニーズを満たすパウダールームなどを完備したサウナや安心感のある個室型サウナが増えてきています。また女性にとってサウナは健康や美容面での改善に効果的ということで社内でもじわじわメンバーが増えてきています」と川田さん。女性視点でのサウナコミュニティーのあり方も今後の課題だ。
■コロナ禍でもサウナ部のつながりが解決策に
いま、キャリア相談やもっと多様な働き方、事業のネタ探しなど、社内だけでは解決しないことも増えている。社外の幅広い知見やさまざまな経験談などを聞ける関係性もJSAの中でなら作れるという。2020年春のコロナの緊急事態宣言後からJSAへの問い合わせが急に増えはじめ、加盟企業もその1年間で倍増した。
「コロナで不確実性が高まり、誰もがこれからの生き方に不安をもった。一時期、旅行やエンタメが制限され、サウナ施設にも行けなくなって、身近なところでリフレッシュするための情報をみんな探したわけです。JSAメンバーも自宅での『ウチととのい』の情報交換などをしていました。サウナを通じた人間関係があれば、ビジネスにも働き方にも生活全般にも生きることが徐々にみんなわかってきたのでは」