岸田文雄首相がますます追い詰められている。寺田稔総務相が「政治とカネ」の問題をめぐり、国会答弁で防戦一方だ。前法相の葉梨康弘氏に続く大臣更迭となれば、自民党内は次を見据え、一気に動き出す可能性がある。決め手となるのは、あの大御所の一手か?
主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席し、11月19日に帰国予定の岸田首相。落ち続ける支持率を外交で挽回したいところだ。
ただ、ある官邸関係者は冷静にこう話す。
「岸田首相は、G20や中国の習近平国家主席との会談などの成果を披露している余裕などない。最初に手を付けないといけないのは、寺田総務相を更迭するか否かだ」
さらに、こう続けた。
「週刊文春で寺田総務相の政治資金疑惑が追及され、ギブアップ寸前だ。岸田首相にもすぐに報道の内容が届けられて、渋い表情だったようです。外相経験が長く、『外交の岸田』で盛り返す狙いも“おじゃん”です」
法相だった葉梨康弘氏に続き、寺田総務相も「更迭」となるとますます岸田首相の任命責任が問われる。しかも、葉梨氏、寺田総務相ともに岸田派だ。
宏池会の職員から自民党本部政務調査会調査役を20年以上務めた政治評論家の田村重信さんは、
「私が仕えた大平正芳元首相は、当時は田中角栄、福田赳夫といった大物との戦いの中でのしあがった。それに比べ、岸田首相は宏池会の中で、それほど闘いもせずに階段を着々と上がってきた。『聞く力』というが、人事を見ても、派閥などまわりに流されて配置しているだけ。人事はうまくないから、岸田派の閣僚が次々と問題発覚となるのでしょう。岸田首相が帰国すれば、寺田総務相更迭と同時に自民党内は、次の首相は誰かと動き始めますよ。『政治は闘争』ですから」
と辛口批判だ。
その「次の首相候補」のなかで、有力と見られているのが茂木敏充幹事長だ。派閥の長でもあり、旧統一教会問題を一手に引き受けている。