これまでも連載で繰り返し言ってきたことですが、歯周病やむし歯の予防は歯科だけではできません。病気の原因となるプラーク(歯垢)を取り除くために歯科でおこなうクリーニングは3カ月に1回程度、飲食によりつく日々の汚れは、患者さん自身がセルフケアできれいにするしかありません。

 そこに気持ちを向けてもらうためには、「歯科衛生士や歯科医の話を聞いてみよう」となっていただくことが大事であり、信頼関係の構築が必要です。

 だからこそ、患者さんの気持ちを上げて、やる気になっていただきたい。その一心で、いろいろと工夫をし、言葉選びにも気を付けています。

 ちなみに、こうした患者さんとのコミュニケーションの取り方は歯学部の授業で学びますが、学生時代はまったくピンときませんでした。しかし、実際に患者さんを診察してみると、コミュニケーション能力は歯科の技術と同じくらい大切なものだと痛感させられました。ここでは、直接的な言い方をしないコミュニケーションを例に紹介しましたが、患者さんによっては、「この歯のこの部分にプラークが残っていますね」という具合に、具体的に指摘をするほうがいい場合もあります。

 つまり、患者さんのタイプによって、対応を臨機応変に変えていく必要があるのです。この力はすぐに身につくものではありませんし、「ここまでできるようになったから、大丈夫」というものでもありません。日々、勉強だと思って患者さんに接しています。

 ところで最後に一言……。歯科の受診日の直前に、「みがけていないのがバレることが嫌だから」と、慌てて歯みがきを頑張る人は多いと思います。しかし、プロの目から見れば、一目瞭然です。ぜひ、そこは観念して、受診をしてください。これまで言ってきた通り、私たちは患者さんを責めることはありませんから。

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