「不調に陥った2017年以降は登板数が激減し、勤続疲労はないでしょう。(以前は)技術と精神の両方で問題を抱えているようだった。今季は右腕の使い方が滑らかになり、腕をより強く振れるようになった。また繊細な性格で周囲の声を気にし過ぎる部分もあったが、メジャー挑戦を考えて吹っ切れたのかもしれない」(阪神関係者)

 阪神がクライマックスシリーズでの敗退が決まった後の10月17日には、球団がポスティングシステムを利用してのメジャー移籍を容認したことを発表。11月26日の「阪神ファン感謝デー2022」では「全く交渉も始まってない」と発言したが、来月にもポスティングの申請がされると見られている。

 だが、日本での10年間の通算成績が57勝54敗、防御率3.41となっている藤浪が通用するかについて、米メディア『CBS Sports』のサイトは“懐疑的”な見方を示している。同サイトはMLBで成功した大谷、前田健太(ツインズ)のNPB通算での防御率が2点台、ダルビッシュ有(パドレス)は1点台だった一方、MLBで苦しんだ山口俊(前巨人)、有原航平(前レンジャーズ)は通算の防御率が3点台だったことに触れ、「(各チームがNPBでの成績を見て)どれほどの興味を示すか未知数だ」と、MLB球団の関心の度合いについては読めないとしている。

 今オフは藤浪と同じくメジャー移籍を目指していた山崎康晃(DeNA)がチームに残留したことも藤浪の今後に関してのヒントとなりそうだ。場合によっては藤浪の残留も考えられるのだろうか……。

「山崎にとって米球界挑戦は長年の夢だったので、断念したのには驚いた。日本人のリリーフ投手はメジャーでもある程度の結果を残し、相応の契約内容が提示されてもおかしくないと思われていた。しかし評価が想像以上に低く、良い契約オファーがないと予測して残留を選んだとも考えられる」(DeNA担当記者)

 そんな中で「藤浪はどの程度まで条件を譲歩できるかに関わってくるだろう」(MLBアジア地区担当スカウト)と最初は決して良い条件ではなくとも、メジャー移籍のためにはそれを受け入れる必要性も出てきそうだ。

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藤浪はメジャー移籍を果たせるのか