今回は、日本が予選リーグを突破し、クロアチアと戦うとわかってから対戦するまで4日間しかないため、06年のときより落ち着いているという。

 クロアチアの予選リーグの成績は、モロッコ戦は0-0で引き分け、カナダ戦は4-1でクロアチアが勝利。ベルギー戦は0-0で引き分けと1勝2分けだった。

 日本の次戦の相手がクロアチアだとわかったとき、川崎さんはクロアチア代表のベンチに入っている女性マネジャーのイバ・オリバリさんに、フェイスブックのメッセンジャーで、

「本当にクロアチアと日本が対戦することになったね」

 とメッセージを送った。オリバリさんからは、

「hahahaha(ハハハハ)、congratulations(コングラチュレーションズ)」

 と返信があったという。

 そんな状況で、川崎さんが日本かクロアチアか、どちらを応援するのかをたずねると、即座に、

「正直、勝ってほしいのはクロアチアなので、クロアチアを応援しますよ」

 という答えが返ってきた。その理由をこう答えた。

「そもそも、私がこの店を出すことになったきっかけは、W杯のクロアチア代表とのご縁なんですよ。02年の日韓W杯で日本にやってきたクロアチアの選手が、今はコーチとしてベンチ入りしている。サッカーを通じた、クロアチア人たちとの個人的なつながりがあるので、クロアチアを応援します」

クロアチア料理店「Dobro」を営む川崎幸樹さん

 川崎さんは、新型コロナの感染拡大が始まる前までは、毎年のようにクロアチアにワインの買いつけなどで出かけ、1カ月ほど滞在していたという。「クロアチアは親日の国」だという。クロアチア人との交流を大切にしてきた。

 もともとは、川崎さんは東京電力の社員だった。会社では人事や労務管理を担当する事務系の仕事だった。02年ごろ、新潟県十日町の東電の関連会社に出向となったことが、その後の人生の大きな転機となった。

 運命のいたずらか、川崎さんが出向した02年、W杯「日韓大会」が開催されたのだった。当時、日本は自治体主導でキャンプ地を誘致した。川崎さんの出向先の施設では、クロアチア代表チームのキャンプを受け入れることに決まった。

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