
有田さんは今回の訴訟について、こう語った。
「旧統一教会への圧力になると思うので、何年かかっても徹底的にやります。旧統一教会を社会的に包囲する。そのような裁判にしなければ意味がない」
先述した「スッキリ」での発言については、「そういう事実があった。ただ、それだけなんですよ」と語る。
■「オウムの次は統一教会」
有田さんが「朝日ジャーナル」(朝日新聞社)を舞台に旧統一教会について取材を始めたのは1986年。最初の記事から「異国(韓国)の団体(旧統一教会と国際勝共連合)」が日本の政治に介入していることについて深く切り込んだ。
その後、有田さんはオウム真理教事件をきっかけに、カルト宗教に詳しいジャーナリストとしてテレビでひっぱりだことなる。警察が有田さんと接触し始めたのはこのころだった。
「オウムの件で定期的に会っていました。向こうは情報が欲しかったし、こちらも同じだった」
主に会っていたのは警視庁公安部のS総務課長。さらに、「要所要所で警察庁公安第1課のT課長が出てきた」。T課長は全国の公安警察にオウム真理教関連の捜査を徹底させ、後に警視庁副総監となった人物である。
「地下鉄サリン事件」が起こった95年の秋のこと。
有田さんはこの2人から「旧統一教会についてレクチャーしてほしい」と依頼された。「そこに誰が集まっているのかは聞かないでほしい」と念押しされ、東京・麹町のホテルの一室を訪れた。
「目つきの鋭い男たち20~30人が狭い会議室にぎっしりと着席していました。おそらく全国の公安警察の幹部だと思います。二人は『オウムの次に統一教会を摘発の対象にしている』と、言っていました。さらに『相当な情報源ができた。経済問題から捜査に入る』と、具体的に語っていました」
95年といえば、まだオウム真理教事件の捜査の真っ最中である。オウム真理教とは違い、警察はかなり以前から旧統一教会の動向について目を光らせてきた。
■旧統一教会は「軍事組織」
有田さんの取材によると、警察は旧統一教会について「軍事組織」をも持っているという見方をしていたという。
「統一教会は60年代後半に2500丁の空気散弾銃を日本に持ち込んでいる。銃砲店もつくった。なので、当時から警察は統一教会を単なる宗教団体とは見ていなかった。『文鮮明機関』ですからね」と、有田さんは言う。
「文鮮明機関」とは何か?