西武の平良海馬が来季の先発転向を訴え、契約更改の席で保留したことが話題を呼んだ。
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提示された金銭面に不満があったわけではない。2日の交渉で救援から先発転向を訴え、話し合いは平行線をたどり保留となったが、平良の熱意が届いた。1日空けた4日の交渉で球団が先発転向を容認したため、前回交渉と同じ条件提示となる7000万円増の年俸1億7000万円(推定)で契約更改した。
西武を取材するスポーツ紙記者は、「平良は2019年オフから先発転向を訴えていました。救援で球界を代表する投手としての地位を築いた後もその思いは変わらなかった。WBCで日本代表に選出されることが有力視されたが辞退することを明言したことから、その決意は本物です」と話す。
球団サイドの思いも理解できる。昨年はリーグ最多の61試合登板で1勝3敗9セーブ、防御率1.56。34ホールドで最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した。19年からの4年間で計203試合登板し、7勝8敗94セーブ31ホールド、防御率1.66と替えの利かないリリーバーだった。
起用法を決めるのは選手ではない。ただ、平良に「同情論」が多いのは救援で結果を出し続けたことが、皮肉にも先発転向のチャンスを失う形なっていたからだろう。チームは救援の柱として計算していたが、頑張っていても報われなければ、モチベーションにも影響する。今季新人王を獲得した水上由伸、森脇良介、本田圭佑らセットアッパーが充実した陣容となったことも、先発で勝負した思いをさらに強くした一因になったかもしれない。球団OBの松坂大輔は自身のツイッターを更新。「先発をやりたい平良の気持ちも分かる。僕がライオンズにいた時もそこに強い興味があるのも知ってた。ただ、監督1年目で絶対的なリリーバーが一枚抜けることは(松井)稼頭央さん(監督)にとっても痛い。でも、そこは他の投手にとっては大きなチャンス。稼頭央さんの悩みを埋める投手が出てきてほしいですね」とエールを送った。