12月9日、初めて行われた現役ドラフト。出場機会に恵まれない選手の救済措置を目的とし、メジャーリーグの「ルール5ドラフト」を参考に選手会の強い要望で実現したものだが、果たしてその効果はあったのだろうか。まず結論から言うと、ある程度の成果はあったというのが第一印象だ。
阪神の岡田彰布新監督が「分からん選手の方が多かった」と発言しているように、今回移籍が決まった12人は一軍での実績がある選手は少なかったものの、他のチームであれば出場機会がありそうな選手は少なくない。まず投手では大竹耕太郎(ソフトバンク→阪神)と戸根千明(巨人→広島)の名前が挙がる。
大竹は育成ドラフト出身ながら1年目から支配下登録されると、2年目には17試合に先発して5勝をマーク。その後はなかなか成績を残せずにいるが、二軍では常に好成績を残している。育成選手も含めて今後の成長が期待される投手が多いソフトバンクではなかなか一軍でのチャンスは少ないが、貴重なサウスポーだけに他球団であれば戦力となることも十分に期待できるはずだ。阪神も投手陣は強力だが、左の先発となると伊藤将司くらいしかいないだけに、いきなりローテーション争いに加わる可能性もあるだろう。
一方の戸根はプロ入りから2年連続一軍で40試合以上に登板した経験を持つリリーフ左腕。今年は一軍でわずか9試合の登板に終わったが、二軍では44試合に登板しており、150キロを超えるスピードもマークしている。巨人も中川皓太が故障でこのオフには育成契約になるなど左のリリーフ陣は盤石とは言えない状況だけに戸根の放出は意外だったが、他球団の需要が高い選手をリストに入れた方が優先的に指名できる権利を得られる仕組みもあって今回の決断に至ったと思われる。移籍先の広島の投手陣を見ると日本人のリリーフ左腕は森浦大輔、塹江敦哉くらいしか実績のある選手はおらず、チームにとっても戸根にとってもプラスの大きい移籍という印象だ。