ちなみに、相鉄は相鉄新横浜線が1区間ながら開業したのに、路線名を“開封”しなかったのは、新横浜まで線路がつながっておらず、混乱を防ぐためである。

 現在も相鉄・JR直通線の相鉄側では、「JR埼京線直通」と案内しているが、JR東日本は羽沢横浜国大―大崎間を埼京線と案内しておらず、わかりにくい。2023年3月のダイヤ改正を機に埼京線の区間を「羽沢横浜国大―大崎―大宮間」に見直し、わかりやすくしてほしい。

 これ以上にやっかいなのは、相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線とも、それぞれJRと東急電鉄の武蔵小杉、渋谷に停車すること。仮に運賃が安い相鉄・東急直通線の列車に乗ったつもりが、誤って相鉄・JR直通線に乗ってしまうことが考えられる。今までの相互直通運転で前例がないだけに、両社は“誤乗におけるマニュアル”を作成し、混乱が起こらないよう万全を期すことに努める必要があるだろう。

 また、相鉄・東急直通線開業後、相鉄・JR直通線でJR線内が運転見合わせになった際の対応については、「お客さまにご不便・ご迷惑をお掛けしないことを大前提にJR東日本さま含め、関係者間で協議中です」(相鉄)という。

 相鉄・東急直通線は2022年10月10日深夜に各種試験を開始。乗務員訓練を経て、11月3日から習熟運転(試運転)が始まった。開業までにまだ課題はあるが、春風が心地よく吹くカタチでの開業を切に願う。

【取材協力:鉄道建設・運輸施設整備支援機構、相模鉄道、東急電鉄】

(文/岸田法眼)

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