相鉄の場合、西谷の真上に東海道新幹線が走っているのに駅はなく、新横浜へ行くには、自社線とブルーラインなどの乗り継ぎが必要で、なおかつ遠回りだった。例えば、大和―新横浜間は上記のルートで約42分かかっていたが、相鉄・東急直通線の開業により約19分に大幅に短縮される。

 一方、東急電鉄の場合、東横線、目黒線の武蔵小杉には東海道新幹線の駅がなく、東横線・大倉山―菊名間で東海道新幹線と交差するものの、ともに駅がなかった。そのため、菊名でJR横浜線に乗り換えなければならなかった。

 渋谷から新横浜までは、菊名乗り換えで最速27分に対し、相鉄・東急直通線開業後の渋谷―新横浜間は乗り換えいらずの最速25分で結ばれる。わずか2分の短縮にとどまっているのは、前者の渋谷―菊名間は特急利用に対し、後者は急行のみの運転であるため。特急でないのが惜しい。

東急電鉄側の新横浜トンネルは、“インスタ映え”しそうな光景だ
東急電鉄側の新横浜トンネルは、“インスタ映え”しそうな光景だ

■イベント等でも新横浜が近くなる

 新横浜は“横浜副都心”として街が醸成され、コンサートなどでおなじみの横浜アリーナ、2002年のFIFAワールドカップで試合が行われた横浜国際総合競技場といった名所もある。しかし、東海道新幹線以外の鉄道ルートで新横浜に行くには利便性がいまひとつの感があったが、相鉄・東急直通線の開業により、一気に解消される。

 横浜国際総合競技場はJリーグ、横浜F・マリノスの本拠地だ。先述の武蔵小杉は川崎フロンターレの本拠地、等々力陸上競技場の最寄り駅。さらに目黒線との相互直通運転が行われている埼玉高速鉄道の終点浦和美園には、埼玉スタジアム2002があり、浦和レッズの本拠地でおなじみだ。2023年以降、横浜F・マリノス-川崎フロンターレ/浦和レッズ戦は「相鉄・東急直通線ダービー」ともいえる状況になる。

東急電鉄管轄の北改札
東急電鉄管轄の北改札

■神奈川県の運転免許センターも近くなる

 川崎市や横浜市青葉区・都筑区・港北区に住む人にとっては、相鉄の二俣川を最寄りとする神奈川県の運転免許試験センターが近くなることもメリットの一つだ。従来は横浜もしくは中央林間・大和経由で遠回りを強いられていたが、相鉄・東急直通線の開業で所要時間も大幅に短縮されるはずだ。例えば、現行の新横浜―二俣川間はブルーラインと相鉄線の乗り継ぎで約35分(横浜での乗り換え時間は約10分と仮定)に対し、相鉄・東急直通線利用だと最速11分で済む。

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