「経費や控除を増やせば得する」と、多くの人が思っているでしょう。ハーバード大卒で、日本在住歴25年以上のパトリック・ハーラン(パックン)が指摘する、「節税に関する勘違いナンバーワン」とは? いまさら聞けない「お金の基本」から手堅くお金を増やす方法までしっかりカバーした、パックン初のお金の本『パックン式 お金の育て方』から、一部を抜粋・再編して公開します。
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■「節税」の勘違いナンバーワンは?
昔の話ですが、ある小さめの会社の社長に飲みに連れて行ってもらい、お会計のときに「経費だから」とご馳走になったことがありました。
僕はもちろん断りませんよ。「でも、社長の会社だから、社長のお金を使っているんでしょ?」と思い、聞いてみました。
そしたら社長は「いや、経費だから。ここで使わないと税金で持っていかれちゃうよ。もう一杯行こうか!」と言われたのです。
太っ腹な社長の冗談だとは思いましたが、「本気で仕組みをわかっていない可能性もあるかも……」と、次のお店でもご馳走になりながら考えていました。
このエピソードからみんなに学んでほしいのは、意外と陥りがちな「節税に関する勘違いナンバーワン」の発想です。
それは、「経費や控除を増やせばお得になる」という考え方です。
会社経営や事業をしていて、毎年きちんと税金を納めて申告している人でもなければ、このように勘違いしてもおかしくありません。
ここでは、念のために説明をしておきましょう。
もちろん、経費や控除で申告できるものがあれば、積極的に申告すべきです。
でもそれは、「無理やり経費や控除を増やせ」ということではありません。
なぜかというと、控除される税金以上に、たくさんのお金を失うことになるからです。
ちょっと例を挙げながら、説明をしていきましょう。
たとえば、本当は必要ないけれど、節税目的で10万円のパソコンを買ったとしてみましょう。