セ・リーグでは村上宗隆(ヤクルト)、パ・リーグでは山本由伸(オリックス)が2年連続となるシーズンMVPを受賞した今年のプロ野球。若手の投手では佐々木朗希(ロッテ)、大勢(巨人)、野手では長岡秀樹(ヤクルト)、岡林勇希(中日)などがブレイクし、来年3月に行われるWBCでも招集があるか注目を集めている。その一方で数年前までは不動の中心選手だったものの、近年成績が下降している選手がいることも確かだ。今回はそんなキャリアとしての踏ん張り時を迎えている選手をピックアップしてみたいと思う。
投手でまず名前が挙がるのが菅野智之(巨人)だ。沢村賞2回、最多勝3回、最優秀防御率4回、最多奪三振2回など数々のタイトルを獲得するなど長年巨人のエースとして活躍。しかし2020年オフにメジャー移籍を目指してポスティングを申請したものの、コロナ禍の影響もあって交渉が不成立に終わって巨人に残留となると、翌2021年は度重なる故障でキャリア最低となる6勝に終わった。今シーズンは2年ぶりに二桁勝利をマークするなど少し持ち直した印象はあるものの、全体的には不本意なシーズンとなっている。
やはり気になるのがコンディション面だ。昨年はシーズン中に4度、今年も3度故障などで登録を抹消されており、特に右肘の状態が良くないと言われている。元々上半身の動きが大きいタイプのフォームだが、肘を気にしてか無駄な動きが大きくなっている印象だ。その影響は投げるボールにも表れており、組み立ての中心となっているスライダーの変化が早く、痛打されるケースも目立つ。
圧倒的な成績を残していた頃から被本塁打は多かったが、この2年間は特に軽々とスタンドまで運ばれるケースも多く、絶対的なボールの力がなくなっている印象は否めない。スライダー系以外のボールを磨く、さらに新たな変化球をマスターするなど、スタイルを変えることができるかが復活へのカギとなりそうだ。