
今年も年明けの1月2、3日に行われる箱根駅伝。優勝や快記録にまつわる数々の名場面の一方で、「あんなこともあったな」と今もファンの記憶に残っている“珍場面”も数多い。そんな“もうひとつのドラマ”を振り返ってみよう。
ゴールを目指す走者が危うく車にはねられそうになるアクシデントが起きたのが、2017年の第93回大会だ。
12年ぶりのシード入りをかけて5位で10区を走っていた神奈川大の中神恒也が、国道1号の日比谷交差点を直進しようとしたとき、左側前方から白いワンボックスカーが走って来て、接触しそうになった。
中神がとっさに減速したので事なきを得たが、一歩間違えば交通事故になっているところだった。レース後、中神は自らのツイッターに「リズム崩したくなかったんでそのまま走っちゃおうと思ったんですけど流石に命の危険を感じたので止まっちゃいました(笑)」と投稿している。
当時日比谷交差点では、選手の通過時間に合わせて、断続的に車両の通行を規制しており、交差点手前に配備された警察官が、選手が目の前を通過するたびに、日比谷交差点で待機中の警察官に無線で知らせていた。
だが、中神が交差点に入ってきたときは、対応が遅れ、東進する3車線で複数の車が交差点を横切っている最中。ネット上で公開された動画にも「車、止まってくださ~い!」と大声で連呼する警察官の声が入っていた。
交通規制されていても、選手が車道を走っている以上、ちょっとした連係ミスが危険を招きかねないことを痛感させられた。
08年の第84回大会では、38度の高熱を押して3区を走った中央大・上野裕一郎(現立教大監督)が区間2位でタスキリレーした直後、力尽きて車道側に倒れ込み、通過中の車と接触しそうになるシーンもあった。くれぐれも車にはご注意を。
審判員の勘違いでスタートが25秒遅れるハプニングが起きたのが、01年の第77回大会だ。
前年まで復路のスタートは、1位のチームだけがピストルで、2位以下の時差スタートは旗振りだったが、この年から「観客にわかりやすい」という理由で、2位以下もピストルに変更された。これが思わぬミスを誘発してしまう。