■40代は「青春を取り戻したい」
「長く愛してもらっている曲こそ、変えちゃいけないと思っています。ライブに来てくれる方の多くは“原曲通りの歌い方で聴きたい”と思っているだろうし、しっかり浸ってもらいたいので。気が付くといつの間にか譜割り(メロディと歌詞の合わせ方)が変わっていたりするので、ときどきCDを聴いて、もとに戻してます(笑)」
オーディションをきっかけにデビューを果たし、1stアルバム「TRUE」がミリオンセールスを記録するなど、瞬く間にスターダムを駆け上がった中島美嘉。映画「NANA」の主演をはじめ、俳優としての活動も加わり、「20代までは、目の前のことに必死で食らいついていましたね」という。彼女にとって30代は、自身のアイデンティティを模索する期間だったのかもしれない。
「自分から“これをやりたい”と提案しなくても、全部やれていましたからね。当時の私が何か言ったところで説得力がなかっただろうし、“偉そうに”と思われるのがイヤで黙っていたところもあって。自分なりにがんばってきて、それなり結果も残してきたという自負もあるし、ここ数年でようやく、“こうしたいです”と意思を伝えっれるようになったと思います。たぶん、“このままのやり方で活動を続けるのは無理”というモヤモヤもあったんでしょうね」
2023年2月19日、中島美嘉は40歳を迎える。デビュー20周年を超えた彼女はここから、さらに奔放に“自分らしさ”を発揮することになりそうだ。
「目の前にあるものをこなすのではなく、一つひとつ丁寧に向き合うことで、自然と“らしさ”が出てくるはずだと思っています。もっと自由になれそうな気がするし、やりたいことを形に出来たらいいな、と。あと、私には20代の青春がなかったので、それを取り戻したくて。どうやって楽しもうかな(笑)」
(森 朋之)
中島美嘉(なかしま・みか)/1983年鹿児島県生まれ。2001年にドラマ『傷だらけのラブソング』のヒロインに抜擢され、同ドラマの主題歌「STARS」でデビュー。「雪の華」などがヒット。2005年には矢沢あいの人気コミックを原作にした映画『NANA』の主演を務め、NANA starring MIKA NAKASHIMA名義で同映画主題歌「GLAMOROUS SKY」を歌いチャート1位を獲得した。近年では、2016年に初の台湾ワンマン2DAYS公演を、2017年以降は中国杭州、上海公演を実施するなど、アジアでの活動も勢力的に行う。2022年5月4日に初の自作曲オリジナルアルバム「I」をリリース。2022年11月には最新シングルとなる、アニメ『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』エンディングテーマ「Wish」をリリース。また、新曲「Beyond」が2023年1月8日よりTOKYO MX・BS11にて、1月12日よりWOWOWにて放送開始のアニメ『魔道祖師 完結編』のオープニングテーマに決定した。時を越えて愛する人を想い続ける“運命愛”を描いた歌詞がアニメとリンクする、中島美嘉書き下ろしによるラブバラードに仕上がっている。