「リリースしたときは、ファンの間でも“美嘉ちゃん、どうしちゃったの?”と思われてみたいですね。ここまで尖った歌詞の曲は世の中的にも少なかったし、それまでの私のイメージとは違うと捉えられていたのかも。そのときに私が思っていたのは、“すごくいい曲だし、ずっと歌いたい”ということだけ。私自身がこの曲に救われたし、少ないかもしれないけど、きっと同じように感じてくれる人がいるだろうなと」
■30代後半に“耳が治る”というギフトをもらった
医師から「良くなることはない」と診断されていた耳の症状は、2020年前後、30代後半に差し掛かってきた頃から徐々に改善。それに伴って「前よりはましな歌が歌えるようになった」ことで、音楽性や活動の幅も広がってきた。2022年2月には初のセルフ・プロデュースアルバム「I」をリリース。全曲の作詞・作曲を手がけたこの作品がオリコン・ランキングで2位を記録したことは、彼女にとっても大きな自信になったはずだ。
「自分に曲が作れるとは全く思ってなかったんですが、COLDFEET(中島美嘉の楽曲を数多く手がける音楽ユニット)の二人やスタッフに“出来るんじゃない?”と言われて、その気になってしまって(笑)。楽器はまったく演奏できないので、思い浮かんだメロディや歌詞をひたすら歌うだけなんですよ、私の曲作りは。ただ、昔から負けず嫌いなので、自分で作ったメロディが歌えないとすごくイライラしちゃいますね(笑)。アルバムのツアーもすごく楽しかったです。自分で作った曲だから、どう歌うかは自分次第。耳の調子もよかったし、ステージに上がるのがあれほど楽しかったのは初めてだったかも。せっかく耳が治るというギフトをもらったんだから、これからはもっと自由にやりたいという気持ちも出てきました」
ライブではもちろん、「雪の華」「GLAMAROUS SKY」なども歌う。キャリアのあるアーティストは代表曲のアレンジや歌い方を変えることもあるが、彼女はできるだけで原曲通りに表現することを心掛けているという。