今大会5位でフィニッシュした順天堂大には、非常に楽しみな新戦力が加わる予定だ。現駒澤大の佐藤圭汰が洛南高時代に記録した5000mの高校記録を8秒以上も更新する13分22秒99をマークした吉岡大翔(佐久長聖高)。U20世界選手権5000mで7位入賞を果たすなど、すでに世界基準の走りを見せている日本陸上長距離界の新スター候補だ。ただ、1区区間7位の野村優作(4年)、3区区間7位の伊予田達弥(4年)、5区区間2位の四釜峻佑(4年)、8区区間3位の平駿介(4年)、10区区間賞の西澤侑真(4年)と今大会でも好走した5人の実力者たちが卒業する。来年が最後の箱根となるエース・三浦龍司(3年)と7区で区間3位と好走した浅井皓貴(3年)を中心に、スーパールーキーの箱根デビューを勢いに変えることができるか。4区で区間15位だった石井一希(3年)、6区で区間17位だった村尾雄己(1年)、9区で区間16位だった藤原優希(3年)らが奮起すれば、台風の目になれる。

 6位に入った早稲田大は、さらなる順位アップが期待できる。今大会で2区を担当(区間10位)した石塚陽士(2年)を筆頭に、5区で区間6位だった伊藤大志(2年)、6区で区間3位と好走した北村光(3年)ら今大会出走10人中8人が残り、不出走の中にも全日本で4区3位だった山口智規(1年)ら楽しみなランナーがいる。花田勝彦監督1年目で全日本6位、箱根6位は上々の結果。選手層も厚くなり、チームとしての収穫は多くあった。予選会からの“出直し”だった今大会とは異なり、シード権を獲得した上で臨める来年の箱根では、展開次第でトップ3入りも狙えるはずだ。

 その他の有力大学を見ると、今大会8位の創価大は出走メンバー10人中6人が4年生で、フィリップ・ムルワ(4年)、嶋津雄大(4年)、葛西潤(4年)らの主力が抜けることで戦力の大幅ダウンは避けられない。同11位でシード権を失った東京国際大も、日本人エースの丹所健(4年)と史上最強の留学生イェゴン・ヴィンセント(4年)ら今大会出走メンバー10人中5人が卒業する。

 その一方で今大会9位の城西大は期待大。今回の箱根出走メンバー全員が3年生以下で、特に5区で1時間10分4秒の区間新記録を樹立した「山の妖精」こと山本唯翔(3年)の走りを来年も見ることができる。さらに同大学初の留学生ヴィクター・キムタイ(1年)を含めて出走10人中5人が1年生で、今後のチーム力アップは確実だ。2018年以来5年ぶりのシード権獲得も今後のチーム作りの中で間違いなく追い風になる。

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来年は“絶対的な優勝候補”はなし?