2023年、大河ドラマの主人公は誰もが知る天下人・徳川家康。彼を演じるのが、大河初出演となる松本潤さん。家康の誕生、若き日々、信長・信玄・秀吉との相克、関ヶ原の戦い、大坂の陣などなど「徳川家康」をひも解いた週刊朝日ムック『歴史道 Vol.25 真説!徳川家康伝』では松本潤さんにインタビュー。クランクインから約半年を迎えた今の心境をはじめ、作品の見どころなどをうかがってみた。
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──出演オファーを受けたときのお気持ちを改めて振り返っていただけますか。
松本:最初は本当に驚きました。大河ドラマに出演した経験もないですし、家康という役に対してもどうして自分なんだろうと「?」マークが頭の中に浮かんで……。また、そのときは「嵐」として活動中でもあったので、こんな重大な決断を短時間では決めきれないと、苦しい思いで一度はお断りさせていただきました。それから「嵐」が活動休止してからも、お返事を待っていただいていたので、自分にとって新たな挑戦になるんじゃないかと思い「私でよければ、ぜひやらせてください」とお受けしました。
──『どうする家康』という独特なタイトルを見て、どう感じられましたか?
松本:オファーをいただいていたときには、すでにタイトルを聞いていたので、シンプルに独特で面白いタイトルだなあという印象でした。ですが、実際に撮影に入ってからは少しずつ印象も変わっていきました。というのも、戦国時代という過酷な環境では、生き残るために「どうする?」という選択が連続していくんです。その選択によっては死に直結するかもしれない、そんな困難な局面に直面せざるを得ない、そういう意味で、なんかピッタリだなあと思うようになりました。
──松本さん自身は、家康という人をどう捉えていましたか。また、実際に演じられてみていかがでしょうか?
松本:よく言われる「狸親父」や、恰幅のいいおじさんとイメージされやすいですが、僕も津川雅彦さんや西田敏行さんをはじめとする大先輩が演じてこられた家康のイメージが強かったです。ただ、それは歳を重ねてからの姿なんです。家康にも少年の竹千代時代があり、元信・元康時代という10代や20代の頃も当然あったわけで、今回のドラマでは「か弱きプリンス」としての家康像を古沢良太さん(脚本)が意識して描かれているように感じます。若い頃の家康がいた三河は、西に織田、東に今川や武田がいて、生きるか死ぬかの選択を常々迫られる環境でした。ひとつ間違えたら死ぬかもしれない選択の連続を、家康は常に生き延びる道を選び続けることができた人、しかも長生きできたからこそ戦国時代を終わらせて江戸時代を開くことができた人なんだ、ということを演じながら、改めて考えさせられました。「か弱きプリンス」が、どう変わっていくか、天下人に昇るのかも作品の見どころかと思います。