吉本に代わって44番を貰ったのが、入団6年目の関本健太郎だ。バースにあやかって64番から変更したのが吉と出て、71試合に出場し、1軍定着をはたした。04年に出場110試合、打率.316の好成績を挙げると、今度は3番に変え、「44」は出世番号になった。

 関本とは逆に2番から大きな番号に変えたのが、立命大時代に通算8本塁打を記録した藤原通だ。

 44番時代の03年にウエスタンの試合でバックスクリーン直撃の“幻の満塁弾”、06年のファーム選手権で喜田剛、桜井広大とともに3者連続アーチを記録するなど、2軍で打棒を炸裂させた長距離砲も、1軍ではノーアーチに終わっている。

 その後は、甲斐雄平(10~12年)、ブレイン・ボイヤー(13年)を経て、14年入団の捕手・梅野隆太郎が44番を受け継ぐ。1年目から正捕手になった梅野は、21年から憧れの先輩捕手・城島健司にちなんで2番に変えたのはご存じのとおりだ。

 そして、昨季限りで退団したラウル・アルカンタラのあと、レジェンド助っ人ゆかりの番号は、今季からドラフト5位で入団した新人内野手・戸井零士がつけることになった。天理高出身選手では、山下、関本に次いで3人目の44番になる。

「バース選手や関本さんがつけていた背番号でもあるので。自分のものにできれば」と力強く抱負を語った戸井が、将来目標の「首位打者」を実現し、「44番は戸井」と言われるようになれるか注目したい。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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