大腸がんには年間15万人以上がかかっており、がん種別で第1位です(2019年)。また、毎年、5万人以上が大腸がんで亡くなっており、とくに女性ではがんのなかで最も死亡者数が多いのが現状です(20年)。どのような人がかかりやすいのか、予防のためにはどんなことに気をつけたらよいのか、そして、万一に備えて、主な治療法についても知っておきましょう。本記事は、23年2月27日発売の『手術数でわかる いい病院2023』で取材した医師の協力のもと作成し、お届けします。
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口から食道、胃、小腸、そして大腸、肛門は、体外とつながった一本の管であり、腸には食べ物を介してさまざまな細菌やウイルスが到達します。このため、これらの外敵を迎え撃つための免疫細胞が発達しており、腸は人体最大の免疫器官としても知られています。
■大腸がんはどんな病気か?
このような腸のうち、大腸に発生したがんが大腸がんです。疫学研究では、大腸がんには、家族歴があり、喫煙や飲酒、加工肉や赤肉のとり過ぎでかかりやすくなるとされています。
大腸がんは、初期には無症状であり、進行すると、見てわかるほど便に血が混じる(血便、下血)、排便後、トイレットペーパーに血液が付着するといった症状、さらには腹痛が見られるようになります。
ただ、症状の表れ方には個人差があります。便の状態に気を配り、血便以外にも、便の性状や回数が変化するといった気になる症状がある場合は、次の大腸がん検診まで待たずに医療機関を受診するのがよいでしょう。
大腸がん検診は男女ともに40歳以上を対象に便潜血検査で実施されており、1年に1回受けることが推奨されています。便中の目に見えない微量の血液を検出できる便潜血検査で陽性となった場合は、大腸内視鏡による精密検査が推奨されています。
40歳になったら毎年の便潜血検査はもちろん、陽性の場合は大腸内視鏡による検査まできちんと受けて、早期発見・早期治療につなげたいものです。早期に治療すれば治癒する可能性が高いがんであり、そのための治療法の選択肢も広がります。