「無罪になってここから出てきて、一緒に暮らそうと……。ここにいる私と一緒になってもいいと……」

 私が、「獄中結婚も考えていたのか」と聞くと、上田死刑囚はうなずいた。

 死刑確定後も、新年には上田死刑囚からの手紙やはがきが毎年届いた。だが、今年は届かなかった。上田死刑囚との面会は20回、届いた手紙は51通に達した。

上田死刑囚が描いたイラスト
上田死刑囚が描いたイラスト

 上田死刑囚は、支援者から差し入れられたかりんとうを、

「嬉しくて一気に食べてしまい、喉が詰まりそうになった」

 と話したこともあった。とはいえ、私が面会した上田死刑囚は健康そうだった。

 発表された死因が、夕食を喉に詰まらせての窒息だということには、「不審」な思いがする。

(AERA dot.編集部・今西憲之)

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
防災対策グッズを備えてますか?Amazon スマイルSALEでお得に準備(9/4(水)まで)