乳がんはがん細胞が全身に広がりやすく、手術でがんを取り除いたとしても、微小ながんが全身に広がっている可能性があります。そこで浸潤がんの場合は薬物療法を組み合わせて再発を予防します。使用する薬は「抗がん剤」「ホルモン治療薬」「分子標的薬」の3種類で、がん細胞の性質(サブタイプ)によって使い分けます。薬物療法は手術後に実施するのが基本ですが、術前に薬物療法を実施することでがんを縮小できると、全摘の予定だった人でも、部分切除できるケースがあります。

 遠隔転移がある場合や再発した場合は、薬物療法が中心となり、サブタイプに合わせて薬を選択します。乳がんの場合は転移、再発した場合でも標準治療が確立されていて、長く生きる人もいます。

 がんは5年以内に再発することが多いため、手術後5年経っても再発していなければ治ったと解釈されます。しかし、乳がんは進行がゆるやかで、術後5年以上経ってから再発することもあります。このため、術後10年間は再発がないかどうか、定期検査を受けることが必要です。

(文・中寺暁子) 

【取材した医師】
埼玉医科大学国際医療センター乳腺腫瘍科教授 佐伯俊昭 医師
筑波大学病院形成外科教授 関堂 充 医師

埼玉医科大学国際医療センター乳腺腫瘍科教授 佐伯俊昭 医師
埼玉医科大学国際医療センター乳腺腫瘍科教授 佐伯俊昭 医師
筑波大学病院形成外科教授 関堂 充 医師
筑波大学病院形成外科教授 関堂 充 医師

「乳がん」についての詳しい治療法や医療機関の選び方、治療件数の多い医療機関のデータについては、2023年2月27日発売の週刊朝日ムック『手術数でわかる いい病院2023』をご覧ください。

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