都立松原高校「進学アシスト校事業」の授業風景。(写真/AERA編集部・川口穣 2019年撮影)
都立松原高校「進学アシスト校事業」の授業風景。(写真/AERA編集部・川口穣 2019年撮影)
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 東京都教育委員会(都教委)は進学実績の向上を図るため、新年度から民間の塾講師を都立高校に招いて受験指導を行う。いわば「学校内予備校」の開設である。受講費用は全額を都教委が負担する。実施校は一部に限られるが、教育費の捻出に悩む世帯にとっては朗報だろう。今回の受験講座は、都教委が昨春まで都立2校で実施してきた「進学アシスト校」の拡大版である。これについて「都立高校が予備校講師を招くなんて、本末転倒」「逆に教師の負担が増える」という声もある。では、実際はどうだったのか。まずは進学アシスト校に指定されていた都立松原高校(世田谷区)に聞いた。

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 松原高校は京王線桜上水駅から徒歩5分ほどのところにある生徒数600人弱の中堅校である。

 2019年、進学アシスト校に指定され、3年間、塾講師による講座が設けられた。さらに松原高校は、昨年度末に事業が終了した後も独自で予備校と契約を結び、引き続き講座を実施している。それは進学アシストが生徒や保護者に好評で、教員の理解も得られていたことを意味する。

「今回、大学入学共通テストを受験した3年生は本校が進学アシスト校であることを知ったうえで入学してきた初めての生徒なんです。なので、進学アシストでどのような効果があったのか、検証できると思っております」

 松原高校の土崎祐一郎副校長は、そう語る。

■教員からの反発は?

 では、実際に手ごたえをどう感じているのか?

「本校の場合、指定校制度を使って進学先を決める生徒が多かったこともあって、以前は大学入試センター試験(現・共通テスト)を受験する生徒は40人ほどでしたが、今年は100人近くに増えました」

 一般受験で中堅以上の大学を目指す生徒を増やすことで、学校の特色の一つにしたいと考える松原高校としては、十分な成果だったに違いない。

 4年前、進学アシストの業務を受託されたのは学校内個別指導塾を運営する「スクールTOMAS」である。

 気になったのは、高校が塾講師を受け入れることへの教員の反発だ。

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教員からの異論は…