それについて尋ねると、「教員からの異論は特にありませんでした」と、土崎副校長はあっさり言う。

 教科は英語、数学、国語の3教科。1講座60分の授業が学校休業日の土曜日午前中に行われた。

「担当の方は各教科1人なので、1時間目は1年生が英語でしたら、2年生は数学で、3年生は国語。同様に教科をずらして、2時間目、3時間目を実施しました」

 学校からみれば外部に当たる塾関係者を学内に入れることになるので、当然、学校側の教員の一部も出勤が生じることになる。本来、休日である土曜日に出勤しなければならないことで教員の負担が増えたのではないか?

「講座の当番は教員のボランティアというわけではありません。当番は順番でまわってくるかたちにしました。休日出勤については振り替えで休みをとってもらいました」

■終了後も独自に予備校に依頼

 進学アシストが始まった19年度の4月に受講希望者を募ると、1年生45人、2年生42人、3年生21人が手を挙げた。

「受講に際して、選抜試験は行っていません。希望した生徒全員が受講しました。ただ、3年生はすでに自分で学習塾を選んでいたこともあって少なかったです」

 受講期間は基本的に5月から翌年1月までだが、受験を控えた3年生は12月で受講を終えた。

「講座を始めた最初の年度の生徒は『じゃあ、やってみるか』みたいな感じで、まだ進学に向けての意識はそれほど高くはなかったと思います。しかし、それ以降は学校説明会などで、本校は進学アシスト校の指定を受けて、進学への準備活動に力を入れています、と伝えてきました。生徒たちもそれを理解したうえで入学しています」

 昨年度、進学アシスト事業が終了すると、「もう、進学アシスト校ではなくなるんですか、みたいな雰囲気になった」。そのため、今年度は城南進学研究社に依頼して、引き続き講座を開設している。

「以前のように無償ではないんですが、学習塾に通うよりは少しプライスダウンしています。今回は『受験英語講習』ということで、土曜日に90分授業を年間15回組みました」

■来年度から実施校を拡大

 都教委の高等学校教育課学校経営指導担当の加野哲朗課長によると、新年度から始める新事業は、従来の進学アシストをベースにしたものという。

「これまでとは学校を変えて中堅校、もしくはややそれよりも上くらいの都立高校で実施することを想定しています。まだ予算査定中なので学校の数は申し上げられませんが、従来の2校よりは増やしたいと考えています」

暮らしとモノ班 for promotion
防災対策グッズを備えてますか?Amazon スマイルSALEでお得に準備(9/4(水)まで)
次のページ
「世帯年収増」には“読み解き”が必要だ