毎週土曜日に東京都庁下で行っている生活困窮者への食料品配布で、最近、子ども連れを目にするようになった。昨年末に取材した際、大西さんは、こう語った。

「私は路上での支援活動を10年以上やってきましたが、初めて目にする光景です」

 大西さんは、コロナ禍が中間層の子育て世帯の家計にダメージを与えているに違いないと語る。

「例えば、子ども2人の4人家族です。夫は正社員でコロナ以前に年収400万円稼いでいました。妻がパートで100万円稼いでいました。世帯年収500万円って、別に貧困層でもなんでもない中間層の人たちです。それがコロナになって、夫の年収が350万円に下がりました。妻はパートを辞めました。そういうパターンが結構あると思います」

 さらに、大西さんは、こう続けた。

「家計補助的な労働をしていた人が辞めると、その家庭では何が起こるか? 子どもの習い事を減らす。塾には行くけれど、夏期講習はやめるとか。子どもの育成や進学という観点で見ると、マイナスになることが、じわじわと効いてくる。そういう目に見えづらい影響が子育て世帯にすごく出てくるんじゃないかな、と感じています」

 経済的な理由で十分な受験対策ができず、進学や希望する進路をあきらめる生徒を減らすのに進学アシストは有効に機能する。それを一番実感していたのは現場の教員だったのではないか。だからこそ、彼らは塾講師をすんなりと受け入れたのではないか、と感じた。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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