陸上自衛隊の戦車、海上自衛隊の護衛艦についても手当てが必要だと強調する。

「陸上自衛隊は戦車や榴弾砲をめちゃくちゃ減らされている。狭い日本でそんなに数はいらないだろうという理屈です。しかし、ウクライナの現実を見たら、喉から手が出るほど戦車を欲しがっているでしょう。戦車というのは使える場面と使えない場面があって、それを最初から無くしてしまえば、いざという時に戦略オプションがゼロになります。戦車や攻撃ヘリコプターも、やはりアメリカと一緒に戦えるぐらいのレベルで持っておかないといけないでしょう。

 護衛艦の老朽化も問題です。海上自衛隊の主力の護衛艦は、建造から25年ぐらいたっています。護衛艦の寿命はおよそ35年ですから、あと10年くらいしかもたない。鉄は錆びますし、エンジンも故障しやすくなる。その代替えをどうしていくのかも不明確です。現在は多目的をうたっているものの、軽武装で最新戦闘能力に劣るフリゲート艦を量産するようです。これでは日米一体化どころか、自衛隊が足かせになりかねません。今回の議論ではここで指摘したような点があまり見えなかった。本当はそうした積み上げをしっかりとした上で、防衛費増額を言い出してほしかったですね。きちんと必要性が説明できれば、国民の納得度も違ったと思います」

 岸田首相は、先の施政方針演説でも「安全保障政策の大転換」を強調した。そうであるならば、国民がその“大転換”に納得できる説明が不可欠であることは言うまでもない。(AERA dot.編集部・上田耕司)

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