腎がんの代表的な症状は「背中や腰の痛み」「血尿」「わき腹にしこりを感じる」の三つですが、こうした症状はがんが進行しないと出てきません。一方、がん検診や人間ドックでは、腹部超音波検査や単純CT検査がおこなわれているので、無症状の段階で腎がんを見つけることができるのです。

■リスクが高い人は、若いうちから検査を

 腎がんが増えてくる50歳以降はもちろん、血縁者に腎がんの人がいる場合、そして喫煙や肥満、高血圧など、腎がんのリスクが高い人は、若くてもこうした検査を受けたほうがいいでしょう。

「実は造影CT検査をすると、さらに、腎がんを見つけやすいのです。この検査では造影剤と呼ばれる薬を点滴で静脈に注入し、からだに循環させた状態でCTを撮影します。当院は救急病院のため、腎臓に限らず、さまざまな症状の患者さんがこの検査を受けるのですが、撮影した画像から偶然、早期の腎がんが見つかることが多いです」(五反田医師)

 五反田医師の病院では、腎がん全体の3分の2は早期がんだといいます。佐塚医師の病院でも、血尿などの自覚症状がきっかけで受診する患者は、腎がん全体の1~2割程度です。

 腎がんになるリスクの高い人工透析の患者の場合は、通っている透析クリニックや病院で腎がんの検査を定期的に受けていると思いますが、注意が必要だと五反田医師は言います。

「医療機関によって検査の方法には違いがみられます。見逃しがないよう、できれば造影CT検査など、精度の高い検査を受けてほしいと思います」

■腎がんの治療の基本は「手術」

 腎がんの疑いがある場合は、確定診断のために前出の造影CT検査がおこなわれます。

「がんの大きさや広がり、場所などがよくわかり、画像から悪性腫瘍か良性腫瘍かの予測もできます。このため一部の患者さんを除き、生体の組織を採取しておこなう『生検』は実施しません」(佐塚医師)

 一方で、腎がんは肺が最も転移が多く、さまざまな臓器に転移する可能性があるため、腎臓の造影CT検査とあわせて、胸部CT検査、MRI検査などで転移の有無を確認します。

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原発巣である腎臓を手術をすることが多い