「ルフィ」の名で強盗事件を指示した疑いがもたれ、フィリピン・マニラの収容所に入っていた4人の男のうち、2人が2月7日に強制送還され、警視庁に逮捕された。そして9日、残っていた2人も日本に移送された。収容されるきっかけとなった特殊詐欺事件や東京・狛江市の強盗殺人事件など、グループが関与したとみられる一連の犯行について捜査の進展が期待される。
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7日に逮捕されたのは、藤田聖也(としや)(38)、今村磨人(きよと)(38)の両容疑者、9日に逮捕されたのは渡辺優樹(38)、小島智信(45)の両容疑者。4人は特殊詐欺事件の指示役の疑いが持たれていた。
4人がかかわった疑いのある詐欺事件の被害額は60億円以上とも言われている。そうしたカネは、どのようにフィリピンの渡辺容疑者らに運ばれていたのか。
詐欺の実行役がだまし取ったカネを回収し、渡辺容疑者らに直接的に、あるいは間接的に渡す役割をしていた日本人女性Aさん(現在は日本の刑務所で服役中)が19年に窃盗容疑で逮捕されており、その手口が裁判で明らかになった。
大阪地裁が言い渡した判決などからAさんと渡辺容疑者のつながり、犯行の手口を再現した。
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Aさんは19年3月、知人の紹介でマニラを訪れ、渡辺容疑者と出会った。この時、渡辺容疑者の肩書は「実業家」。渡辺容疑者と男女の関係になったAさんは、その後4月にもマニラを訪れ、日本から持ち出した現金2千万円を渡辺容疑者に渡している。
このころには、渡辺容疑者らの犯行グループのなかで、SNSやメッセージアプリを通じて受け子をリクルートする役割をするようになっていた。
Aさんは14件の振り込め詐欺事件で起訴されたが、その犯行は、SNSの「闇バイト」募集で集めた受け子や出し子に指示を出し、高齢者からキャッシュカードをだまし取ってATMで現金を引き出させ、回収するというものだった。