菊池真理子さん
菊池真理子さん

菊池 でも当事者って、メディアに出て頑張っていると疲れてしまう。正直、私も疲れることもあります。でも、メディアの方が、また話を聞かせてください、って来てくれるのは本当にありがたい。やはり当事者にとって、宗教2世の問題が風化してしまうのが一番怖いですから。

荻上 確かに、問題の風化を心配されている当事者の方はいらっしゃると思います。でも、風化はしないです。

菊池 本当ですか?

荻上 昨年の関心度が10だとしたら、今年は5とかになるかもしれませんが、ゼロには絶対になりません。理由の一つ目は、「事件のその後」が終わっていないからです。山上氏の鑑定留置が終わり、司法手続きに入ると、メディアはその動向を報じます。安倍3代と教団との関係を深掘りする報道も出てくるでしょう。二つ目は、今回のような大きな事件が起きてまたその日がくると、メディアは、今年も取り上げなければ、という意識が強くなります。既に宗教2世の当事者グループがメディアとつながっていることも、リマインドが働くのを後押しします。三つ目は、宗教虐待についてのガイドラインができて、さまざまな事例や現場の声が上がってくることで、その都度、報道されることです。被害者救済新法の見直しに付則が入っていることもまた、リマインド効果を持ちます。

菊池 なるほど。

――山上被告が殺人罪などで起訴されました。山上被告に対しては、減刑を求める署名が1万3千筆ほど集まり、一部では英雄視する発言も散見されます。宗教2世問題を考えるうえで、山上被告の犯行と境遇をどのように整理すべきだと考えますか?

荻上 これまでも刑務所に収監されている人に婚姻届が届くとか、そういうことはありました。これだけ注目された事件であれば、署名活動をする人が出てくるのはありうることだと思います。ただ、署名そのものが情状酌量に結びつくことはないでしょう。第三者に対して意図的に、相当な準備をして行った殺人行為。それを社会風潮として、是認させないことが大事だと思います。

安倍晋三元首相を銃撃後の山上徹也被告と取り押さえようとするSP
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署名する人=英雄視する人?