パワーボムはテリー・ゴディがはじめて日本に来たとき、日本のマットでは俺が初めて食らって、初めて怖いと思った技だ。持ち上げられたときに天井が見える恐怖と、脳天をモロに叩きつけられる恐怖がすごくて、俺が怖いと思うくらいだから、他の選手も怖かっただろう。だから、最初に食らった俺に、その技を使う権利があるだろうって思ってね(笑)。
パワーボムにもいろいろな投げ方があるけど、俺の場合は叩きつけたときに、自分の全体重を身体ごと乗っけて抑え込むのが基本だ。当時は相手がみんな大きかったから、抑え込まないと弾き返されちゃうからね。
俺の代名詞となっているグーパンチは全日本プロレスの晩年、そこそこキャリアを積んで天龍同盟をやっているときに、高木功にやったのが最初だと思う。マジでやったの。その頃にファンの「プロレスのパンチって当たってないんじゃないの」という声が聞こえてきたもんで、高木にガツンとやったんだ。
高木にはグーパンチとサッカーボールキックもよく食らわせていたし、俺の一番の被害者は高木じゃないかと思うよ(笑)。なんで高木にそこまでやったかといえば、彼も俺と同じ相撲上がりでタフだったからだ。俺のサッカーボールキックといえば、元横綱の輪島さんにかましたものが有名だけど、それができたのは相撲取りは頑丈だから、いくらやっても大丈夫だろうという信頼感があったからだ。
だから、グーパンチやサッカーボールキックは相手を見ながらやっていた。相撲の立ち合いの頭のぶつかり合いからしたら、俺のサッカーボールキックなんて屁みたいなもんだ。
ただ、ジャイアント馬場さんはグーパンチもサッカーボールキックもよく思っていなかったようだね。俺は直接言われたことはないけど、俺が全日本を退団した後、三沢光晴たちに「グーパンチとサッカーボールキックは下品だからやるんじゃない」と言っていたらしい(笑)。
俺が受けた技の中で一番強烈だったのはなんだって? それはもう、タイガー・ジェット・シンのサーベルだよ! 胸の下の辺りをザックリ切られて今でも古傷が残っているよ。あの頃のシンは暴れまくっていたからなあ……。