巨人の捕手陣を見ると、30歳の大城が正捕手に最も近い存在であることは間違いない。まだまだ能力を出し切っているとは言えないが、打力は抜けている。未来の正捕手として期待されるのが、21歳の山瀬だ。そして、正念場を迎えているのが小林と岸田になる。岸田は岡本和真と同学年の26歳。攻守で総合力が高く、入団時から将来の正捕手と嘱望されていたが、殻を破り切れない。昨季も25試合出場にとどまり、大城との差が開いたように感じる。この図式を考えると、小林は「第2捕手」として活路を見いだした方が良いように思える。

 かつて、巨人からFAの人的補償で中日に移籍した小田幸平(現中日2軍バッテリーコーチ)は打撃が課題だったが、巧みなリードとキャッチング技術が当時の落合博満監督に重宝された。谷繁元信という不動の正捕手がいたが、小田も縁の下の力持ちとして支え、巨人時代の8年間を上回る9年間中日でプレー。プロ17年間で通算打率.197だったが、37歳までプレーした。

 小林は打力向上が大きな課題だが、自慢の守備力をもう一度磨き直すことで野球人生が長くなる可能性が高い。「第2捕手」はチームが勝ってこそ、輝く。昨年と同様に途中出場が多くなることが予想される小林の役割は非常に重要だ。(今川秀悟)